相談事例

相談事例vol.34

2024年01月17日

Q:相続人が全国にいる場合の遺産分割協議の進め方を教えてください。

相談の背景

地域の行政書士の先生からのご相談。相続人調査をしていたところ、被相続人には依頼者である子のほかに、前妻との間に複数人の子がいたことが判明。相続人が全国各地におり、依頼者としては全員と話し合いを進める手間よりも、法定相続分で分割して終わらせたいとの意向だが、遺産分割協議をどう進めるべきか知りたい。

A:遺産承継業務を活用し、 手続きを進めましょう。

弁護士 森田雅也の解説

相続人が複数いて全国に散らばっている場合、遺産分割協議を進めるのは容易ではありません。ましてや、今回の事例のように、異母兄弟が判明したような場合では、協議で遺産分割方針を決めるのはより困難を伴います。
このような相続手続きを進める場合、遺産承継業務での受任を検討しましょう。
遺産承継業務は、相続人全員からの委任に基づいて相続人全員の代理人として被相続人の遺産を管理し、遺産分割協議の方針に沿って相続人に分配する業務となります。
この遺産承継業務は、従来弁護士と司法書士にしか認められていない業務でしたが、令和5年3月の総務省の通知により、「行政書士が財産管理を行うことは業務上問題がない」との法令解釈の変更がなされました。
これにより、行政書士の先生でも遺産承継業務を行うことが可能になりました。
なお、遺産承継業務で手続きを進める場合には、「非弁行為」に注意が必要です。
遺産承継は相続人全員の代理人として手続きを進めることができる手続きですが、特定の相続人の代理人としてその方の利益を実現することは、弁護士にしか認められていません。
行政書士の先生が遺産承継業務で手続きを進める場合には、法定相続分での分割が原則となり、例えば依頼者が法定相続分以上の財産を取得出来るように他の相続人に働きかけるような行為は非弁行為に当たります。そのような特定の相続人の利益を実現するために働きかけるような場面では、弁護士にご依頼ください。

<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也
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