相談事例

相談事例vol.33

2023年10月04日

Q:地域の司法書士の先生からのご相談。遺産分割協議を進めるために知的障害を持つ依頼者の弟に成年後見人をつけたいが、弟の預貯金を使い込んでいた母親が後見人になると主張している。母親が後見人になることを阻止し、適正な遺産分割協議を実現する方法を伺いたい。

相談の背景

2ヶ月前に依頼者の祖父が亡くなり、父親もすでに亡くなっていたため、叔父と依頼者、依頼者の弟の3人で遺産分割を行うことになった。相続税の納税資金の捻出のために早急に祖父名義の不動産を売却したいが、依頼者の弟に知的障害があるため、遺産分割協議を進めるために成年後見人を選任する必要がある。
弟の成年後見人として 母親が立候補していたが、母親は弟の預貯金を使い込む性格で、依頼者としては母親を弟の後見人にすることには不安を感じている。
母親を成年後見人にすることなく、適正に遺産分割協議を進めたい。

A:専門家を後見人に就任させ、遺産分割協議を進めましょう。

弁護士 森田雅也の解説

成年後見人になれるのは親族だけではありません。近年では、成年後見人には弁護士や司法書士といった専門家が選任されるのが一般的で、場合によっては支援が必要な分野に応じて複数の後見人が選任されることもあります。
今回の相談事例では、母親が後見人として立候補していたため、選任の申し立てと併せて「母親を成年後見人とすることは適切でない」旨の上申書を提出するとよいでしょう。母親が弟の財産を使い込んでいたこと、ゆえに弟が祖父から相続した財産も使い込まれてしまうリスクがあることを丁寧に主張することで、専門家を成年後見人に選任してもらうことができるかもしれません。
今回の相談事例では、遺産分割協議を進めるだけではなく、その後の不動産売却も相続税申告の期限内に行う必要があります。相続の専門家が成年後見人に就任することで、スピーディーに遺産分割を進めることができます。

<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也
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