相談事例vol.24
2022年11月10日
Q:被相続人が外国籍の場合の相続放棄はどのように行うことができますか?
相談の背景
被相続人はグアム州で生まれたが、幼いころに来日して以来、ずっと日本に在住していた在日アメリカ人である。その相続手続に際し、相続人たる子は相続放棄を希望した。被相続人が外国籍である場合の相続放棄の進め方について伺いたい。
A: グアム州の法律(グアム法典)に基づいた相続手続が必要です。
弁護士 森田雅也の解説
法の適用に関する通則法第36条により、相続手続においては、被相続人の本国の相続法が適用されます。準州である場合には、その州の法令に準拠した手続きが必要です。
したがって、今回の相談事例では、グアム州の法律(グアム法典)に基づいて相続手続を進める必要がありますので、相続放棄についてもグアム法典に則って手続きを進めることが原則です。
しかし、相続財産に不動産が含まれる場合、注意が必要です。
日本は、全ての相続財産について被相続人の本国法を基準とする相続統一主義を採っていますが、国によっては、不動産については所在地の国の法律を基準とし、不動産以外の財産については本国法を基準とするという相続分割主義を採るところもあります。
アメリカは相続分割主義を採る国の代表例です。
したがって、放棄する財産に、日本国内所在の被相続人名義の不動産と金融財産が含まれている場合、不動産については日本法が、金融財産についてはアメリカ法(グアム法典)が適用されることになります。
日本法における相続放棄の熟慮期間は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月ですが、グアム法典における熟慮期間は権利が発生してから9カ月以内と定められています。当然、相続放棄に係る必要書類も適用される国の法律によって変わってきますので、被相続人が外国籍である場合には、正確に準拠法を確認し、適用される法律の内容を詳しく調べることが不可欠です。
したがって、今回の相談事例では、グアム州の法律(グアム法典)に基づいて相続手続を進める必要がありますので、相続放棄についてもグアム法典に則って手続きを進めることが原則です。
しかし、相続財産に不動産が含まれる場合、注意が必要です。
日本は、全ての相続財産について被相続人の本国法を基準とする相続統一主義を採っていますが、国によっては、不動産については所在地の国の法律を基準とし、不動産以外の財産については本国法を基準とするという相続分割主義を採るところもあります。
アメリカは相続分割主義を採る国の代表例です。
したがって、放棄する財産に、日本国内所在の被相続人名義の不動産と金融財産が含まれている場合、不動産については日本法が、金融財産についてはアメリカ法(グアム法典)が適用されることになります。
日本法における相続放棄の熟慮期間は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月ですが、グアム法典における熟慮期間は権利が発生してから9カ月以内と定められています。当然、相続放棄に係る必要書類も適用される国の法律によって変わってきますので、被相続人が外国籍である場合には、正確に準拠法を確認し、適用される法律の内容を詳しく調べることが不可欠です。
<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也
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