相談事例vol.14
2022年04月28日
Q:相続放棄をした場合、生命保険の相続税非課税枠は適用されますか。
A:相続放棄をすると適用されません。
弁護士 森田雅也と協力先税理士の解説
結論からお伝えいたしますと相続放棄をした場合、生命保険の相続税非課税枠は適用されませんので注意が必要です。
ちなみに、提携先の士業事務所で実際にあった事例をご紹介いたします。
▼実際の事例
依頼者ら(長女、次女の2人姉妹)の父親(被相続人)が数千万円単位の財産を所有しているものの、多額の負債も負っているため、父親に関する生前対策の相談を受けた。
税理士によるアドバイスのもと、相続開始後は長女・二女が相続放棄を行うことを前提としつつ、生前のうちに相続時精算課税制度による長女・二女への贈与と生命保険の非課税枠を用いて将来の相続税の節税を図ろうとしていた。
税理士からの提案のとおり、父親は長女と二女に贈与を行い、かつ、生命保険に加入した。
その後、父親の相続が開始され、予定通り長女と二女は相続放棄の申述を行い受理された。生命保険の非課税枠により、相続時精算課税適用財産を考慮しても父親についての相続税申告は不要となる心づもりだった。
しかし、税理士による再確認により、「相続放棄を行ったことにより生命保険の非課税枠が適用除外」となることが判明。(相続税基本通達12-8 相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。(昭46直審(資)6、昭57直資2-177改正))
結果的に生命保険金額と相続時精算課税適用財産が、長女と二女の相続税課税対象となり、相続放棄したにも関わらず相続税申告及び納付が必要になってしまった。
<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也
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