相談事例

相談事例vol.13

2022年04月28日

Q:遺言執行時の供託手続きについてお伺いしたい。

相談の背景

相談者は遺言執行者。遺言執行を受任していた遺言者がお亡くなりになり、執行が開始となった。
遺言書作成当時から推定相続人であった長女は、遺言者と音信不通で絶縁状態となっていたが、遺言者の意思により金融資産を受け取る内容で遺言者を作成していた。
ところが、遺言作成者から長女に対し、金融資産を受け取るための書類を送るも受け取ってもらえず、自宅訪問をするも対応してもらえず、受け取ってもらう術がなくなってしまった。そこで供託手続きを利用しようと思っているが、手続きの方法についてお伺いしたい。

A:供託手続きの流れや供託書の作成方法は下記の通りです。

弁護士 森田雅也の解説

供託とは、金銭、有価証券などを国家機関である供託所に提出してその管理を委ね最終的には供託所がその財産をある人に取得されることによって一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。

供託の種類によって定めが異なりますが、遺言執行のため相続人に金融資産を受け取らせたいが受け取ってもらえない場合は、弁済供託(民法494条)にあたりますので、今回は債務の履行地の法務局が管轄となります。そして、民法484条により、当該債務の履行地は債権者である相続人の住所地になるため、今回は長女の住所地である東京法務局での供託となります。

今回のケースでは、まず民法第494条を根拠規定として供託書を作成します。
第494条
債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済を出来る者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。
弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。

供託書を管轄法務局に提出後、審査のうえ「供託受理決定通知書」が供託者と被供託者双方に送られてきますので、供託者は、同封の振込依頼書によって供託金を指定口座へ送金し、供託書の正本を受け取り、供託が完了します。

<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也

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