相談事例

相談事例vol.26

2022年12月13日

Q:海外に在住している相続人の所在はどうすれば分かりますか?

相談の背景

相続人調査の過程でアメリカに在住している相続人が判明したが、住民票や戸籍の附票には国名しか記載されておらず、その所在が分からない。このような在外相続人の所在調査について伺いたい。

A:親族や友人・知人への聴き取りのほか、外務省による「所在調査」や国籍喪失届・婚姻届の記載からの調査が考えられます。

弁護士 森田雅也の解説

相続人の所在調査は、住民票や戸籍の附票に記載された住所から調査することが一般的ですが、海外在住者については住民票等への住所の記載が義務付けられておらず、国名だけの記載に留まるところも少なくありません。さらには住民票等の文書保存期間は令和元年6月までは5年間であったことから、それ以前のものについては、国名すら把握できないということも起こり得ます。
このような場合、親族や友人・知人への聞き取りを広く行うことでその所在が分かることもありますが、そうではない場合、方法としては外務省による「所在調査」を利用することができます。海外に在留している日本人について、その在留国又は地域が判明している場合、在外公館が保有する資料から、当該日本人の住所・連絡先を調査することが可能です。
しかしながら、外務省による所在調査の依頼は、三等親以内の親族のほかは、裁判所や官公署、弁護士会からしかすることができないほか、そもそも所在地域が不明・外国籍に帰化しているなどの場合にはその依頼すらすることができませんので注意が必要です。
以上のような方法をもってしても、その所在を明らかにすることができなかった場合には、日本人の所在が明らかにできない場合と同様に、失踪宣告や不在者財産管理人の選任申立を検討することになるでしょう。

<解説>
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 森田 雅也
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