相談事例

相談事例vol.1

2021年09月24日

Q:相続人のもとに底地所有者の代理人弁護士から、未払地代(1,200万円程度)を支払うよう督促の通知が届いた。相続放棄の可否判断についてお伺いしたい。

相談の背景

2年前に父が死亡し、相続人は母と姉と相談者の3人。相続財産は、現在母が住んでいる戸建て(土地は法人名義)のみ。母のもとに、土地所有者である法人の代理人弁護士から12年分の賃料(1,200万円)が未払いであるとの内容証明郵便が送られてきた。
相談者の話では、元々この土地は父の友人の会社名義で、とくに賃貸借契約書を交わすこともなく毎月8万円を現金書留で支払っているだけだったとのこと。のちに別の法人がこの土地を買い取ったが、相続人は所有者が変わったことを知らず、毎月8万円の支払いがその時期を境に滞っていた。
不動産の名義変更や固定資産税の支払いをすでに行っているため、相続放棄の可否判断についてお伺いしたい。

A:不動産の名義変更や固定資産税の支払いをすでに行っていることから処分行為に該当し、例え相続放棄が受理されたとしても、債権者からの異議申し立てにより相続放棄が無効となる可能性が高いです。

弁護士の解説

債権者から請求されている1,200万円に地代以外が含まれているようであれば、その負債については認識していなかったことが合理的であるとみなされ、相続放棄が認められる可能性があります。
しかしながら、すべてが地代だった場合、底地が他人名義であることを認識したうえで毎月8万円の支払いを行っていたわけですから、負債の存在を認識していなかったといえず、相続放棄が認められない可能性があります。
また、不動産の名義変更や固定資産税の支払いをしていなければ、相続財産の処分行為には該当しませんが、今回はこれらの行為をすでに行っているとのことですので、例え相続放棄が受理されたとしても、債権者からの異議申し立てによって相続放棄が無効となる可能性が高いといえます。

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